横須賀美術館
「糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。」

私の好きな美術館の一つ、「横須賀美術館」
今ちょうど、数少ない刺繍の企画展「糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。」を開催しています。
コロナとはいえ、ファッションや刺繍系の展示は見逃すわけにはいかないので、思い切って行って来ました。

この美術館は海に臨んだ開放的な庭があり、館内は、高さのあるまん丸の天窓から注ぐ自然光が心地よく、のんびりとした気分で鑑賞ができます。

横須賀美術館

横須賀美術館

沿道には、紫陽花がびっしりと咲いていました。

横須賀美術館の紫陽花

裏手からは緑豊かな観音崎公園を散策でき、ハイキングに最適。
海と森と美術に囲まれて、幸せのひと時を過ごせます。

今回の展示では、東欧の民族衣装の刺繍と、イヌイットの「ダッフル」という室内装飾品、オートクチュール刺繍を含む現代の刺繍作品が見れました。

私が特に面白いと思ったのは、イヌイットの作品群。
分厚いウール地に、刺繍やアップリケで、イヌイットの生活や神話、文化が描かれた「ダッフル」と呼ばれる「壁掛け」です。
とてもシンプルなデッサンでありながら、ユーモアと生命の輝きに溢れていました。
また、空間を上手に使ったモチーフの配置が興味深かったです。
この作品たちを見ながら、背景にあるであろう厳しい気候や環境、自然への畏怖の念に思いを巡らせました。


昔、服飾の専門学校時代に教わった、「必ずメモに残せ!」というデザイン上達の鉄則。
それ以来、お店や街中で、興味を惹かれた物のディティール・色、感じたことはその場でメモる癖がついています。
だから、いつもメモ帳は手放せず、美術館ではメモと鑑賞と時間との戦い。全部終わったあとは疲労困憊です。
もちろん後で図録も買うのですが、自分の手で残した記憶と、ただ印刷された図録では、見直した時に思い出される刺激が段違いです。

▼ 刺繍のバランスが気に入った、東欧のショートコートのメモ。
いつか何かの作品で活かされるはず。

東欧の民族衣装

刺繍の企画展は少しあっさりとした点数だったので、常設展と併設の谷内六郎館もゆっくりと鑑賞して、ミュージアムショップでもじっくり品定めして、いっぱい満たされました。

今回の、横須賀美術館の「糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。」は、2021年6月27日(日)まで開催中です。


余談

お昼ご飯は、生徒さんオススメの地元の喫茶店「エルム」に行きました。
遅い時間だったので、客は私たちだけ。(美術館併設のレストランは混雑してましたが、、、)
マグロでご飯が見えないくらいのどんぶりを美味しくいただいていると、
突如、そこのオーナー(ハワイアンミュージック歴50年以上とのこと)がウクレレで弾き語りを披露してくれました。
そして、火がついたオーナーは、厨房にいる息子さん(ベース)とお嫁さん(パーカッション)を呼び出し、バンド演奏まで!!
ハワイアンジャズに懐メロなど3曲も聴かせてもらいました。
「すごい、こんなテレビの旅番組みたいな展開ってリアルにあるんだ」と驚きつつ、久しぶりの生演奏に内心燃えました。

聴いている最中、オーナーは18歳からウクレレを始めて、70代になった今でも現役ということが頭から離れず、
私が同じくらい長く真剣にできることはあるのだろうか?多分ない、もう遅い、もっともっと早く刺繍(かそれ以外の物)に出会えればよかったと思って、少々がっくりもした次第です。

このコロナの逆境の中、こういうおもしろくて美味しいお店には本当に頑張ってもらいたいと思いました。
展示に行かれた方は、ぜひこちらの「エルム」さんに食べに行ってみてください。


パリの刺繍学校

いますぐパリ行きの飛行機に飛び乗りたい、、、
ルサージュ仲間の下村小百合さんの著書「パリの刺繍学校」を読んで、一番こみ上げてきた感想です。
小百合さんの体験談と自分の思い出が重なって、懐かしい気持ちでいっぱいになりました。

「パリの刺繍学校」は、エコール・ルサージュという刺繍学校への留学体験がきめ細やかに記された本です。
オートクチュールの刺繍を数多く手がける刺繍アトリエ「ルサージュ」がそのエコールを運営しています。
ルサージュはフランスでも世界でもとっても有名なアトリエです。ファッションなんて何も知らないような養父でさえ知っていて、嫁の私がそこに通っているということを自慢にしていたくらいです。

私が通っていたのは2011年から2012年のこと。
著者小百合さんの渡仏の時期と前後して、私も同じように毎日の宿題に追われ、初めての海外生活に喜びと切なさを感じ、刺繍をめいいっぱい楽しんでいました。
当時新婚だった私は、結婚式の資金や貯金のほとんどをその時に費やしてしまい、その結果、結婚式は今も挙げないままに、、、試着でもいいからあの時にドレスを着ておくべきだったと少し後悔の念も笑

「パリの刺繍学校」に出てくる先生方の中で、私が一番尊敬していたのが名物(?)フロランス先生。とっても気分屋でキツいけど、刺繍は誰よりも美しく論理的で、彼女に教えてもらえる日はいつも特別でした。

帰国してもしばらくずっと、刺繍中にフロランス先生の教える声がエコーのように頭に鳴りに響いていました。
守護霊のように聞こえていたその声はいつしか消え、今わりに鳴っているのは自分が生徒さんに教える声。
ようやく私も刺繍の技術を自分のものにできはじめたのかもしれません。

フロランス先生との大事な思い出がひとつ。
ルサージュでのカリキュラムが終りに近づいて来た頃、帰国したくなかった私は、思いきって彼女にこう聞きました。
「どうしたら刺繍の世界であなたのようになることができますか?」と。
その返答には思いもしなかった言葉、忘れることはできません。
フロランス先生はいつもの調子でこう答えてくれました。
「ルサージュで先生をすれば?日本人の生徒さんも多いし、ちょうど先生を探しているところだし。あなたは上手だから、仲のいいディレクターに推薦してあげるわよ」
まさかこんな風に言ってもらえるだなんて、とても嬉しくて、まるでフロランス先生から勲章を授けてもらえたように思えました。
結局はそのオファーは家族の都合と英語が必須という理由から申し込むことはありませんでしたが、その勲章が後ろ盾となって、日本で活動を始めて今日までひた走れた気がします。

小百合さんの本を読んで久しぶりにフロランス先生の教える声を思い出し、パリの街並みや空気に触れたい気持ちが高まりました。
ルサージュが憧れの方、刺繍が好きな方、これから留学してみたいという方にはぜひ読んでもらいたい本です。


【パリの刺繍学校】
著者・下村小百合さんのホームページで販売中です。http://parisbroderie.leesworld.info/

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あじさい小旅行

梅雨の花と言えば「紫陽花」。
紫陽花で有名な鎌倉長谷寺へ、何かデザインのアイディアになるかなーと行ってみました。

見頃前とは言え、紫陽花で有名な鎌倉は大混雑していました。
江ノ電は満員、お寺に入るのに2時間待ち、、、みんな見たい気持ちは一緒ですね〜。

紫陽花ときくと、4枚花弁でドームのようにまるっとしていてだいたい青色を想像します。
でも実際よーく見てみるといろいろな種類があるんですね。
とてもミクロな花が密集したものや八重桜のように花弁数が多いもの、品種の名前も「ギャラクシー」だとか「ありがとう」みたいな面白いのがありました。
とくに咲きかけの紫陽花は小粒な蕾やニュアンスのある色味がかわいくって、いつかデザインに活かせるかも?!

息抜きがてらのインスピレーション探し、わざわざ遠出しなくても身近な自然からも感じられます。
季節の変わり目はよーく目を凝らして周りを見て歩くのもいいものです。




フランスの結婚式、プロヴァンスの休暇その3

今回の休暇の最大の目的、それは義姉の結婚式への出席でした。

初めて体験したフランスの結婚式。

日本とは全くちがうその様子をご紹介です。(長編です。)

〜 式の前 〜
長い1日の幕開けは新婦の自宅から始まります。
新婦は着替えや準備などをすまし、そこへ新郎が迎えにくるのを待ちます。
準備が終わるまでは新郎はお家に入れず、家族やゲストと一緒に外で待機してるのです。
この時点で式の参加者の約半分くらいがすでに集まっていました。

新婦のお着替え

新郎が迎えに来ました!ゲストたちも拍手で出迎えます。

花婿のお出迎え

野次馬の子たちや隣人も注目の中、記念撮影第1段です。

野次馬たち

ひとしきり写真をとった後、新婦・新郎・家族たちはそれぞれの車で次の会場、
この日1番大事な場所「役所」へと向かいます。
ゲストたちもみんな車です。車社会なんですね。
その道中、車たちは1列となってお祝いのクラクションをならしながらゆっくりと行進します。
対向車もクラクションで応戦してくれます。

花嫁の車

〜 役所での式 〜
日本の結婚ですと婚姻届けは事務的なものなのかもしれませんが、フランスの場合はちがいます。
役所で婚姻届けにそろってサインするのが1番肝心なのです。

結婚式が行なわれるのは土曜日が主なので、役所には何組のものカップル&家族・友人たちで賑わっており、順番が回ってくるまで外で待たされます。

日陰で待ちぼうけ

式の順番が回ってきました!
装飾された小さな会場で、ゲストたちは新郎新婦の入場を待ち受けます。
日本でもおなじみの「新郎新婦ご入場です!パンパカパーン」という感じです。

ここでの司会役はこの地域の「助役」。
その助役は新郎の友人ということもあってか、和気あいあいとした雰囲気で饒舌に冗談を飛ばしていました。
結婚式を担当する助役は口達者が選ばれるのかもしれません。

新郎新婦の紹介や助役のスピーチのあと、婚姻届へのサインをみなで見届けてここでの式は終了です。
その間30分くらいの出来事。堅苦しい感じは皆無でした。

市役所

〜 教会での式 〜
またしても車の大名行列で、次の会場の教会へと向かいます。

役所での式は必須ですが、教会での式はやってもやらなくてもどっちでもいいとのこと。
ちなみに、離婚経験のある人は教会で式をすることはできません。(キリスト教)
なので、すでに別の女性との子供が2人もいる新郎だったので教会には行かないのだろうと思っていたのですが、
結婚はしていなかったのでセーフだったようです。
(フランスでは事実婚(パックス)が広く認められており、婚姻と同じくらいの権利が与えられています。また最近は同性愛者の婚姻も認められています。)

さて、教会での式もまた型破りなものでした。
始めのうちは厳かな雰囲気に包まれていましたが、だんだんと雲行きが怪しくなってきます。
なぜなら、式の詳細を取りまとめていた教会の担当者が休みの為に、ご高齢の神父さんは進行にあたふた。
どの文章を読むんだったかなー、となんだか心もとない感じで、列席者もちょっとざわざわとし始めます。
日本でよくある「あなたは〇〇を配偶者として認めますか〜云々」の掛け合いはなく、
新郎新婦に「ここ読んで下さいね」と宣誓を促します。
指輪の交換はありましたが、誓いのキスはなかったような気がします。

教会

その後、神父さんはなぜか未成年者を中央に集め、輪になり子供たちの祝福を祈ったり、
どこかへ引き連れて行こうとしては、すぐにまた戻ってきたりと、
列席者たちは「???」という感じで、ざわざわと騒がしくなっていました。
あとで家族に聞いたところ、全然普通の進行ではなくみな口々におかしかったねとのこと。
なんだかまとまりのない感じで式は終わりました。

教会で記念撮影

〜 披露宴 〜
教会のあとは近隣のパーティー施設での披露宴です。
時はすでに夕方。屋外でアペリティフを楽しんで暗くなったら室内で宴会が始まりました。
会場内はまるでクラブのよう。大音響の音楽とチカチカの照明、司会者はDJです。
みな食べて飲んで踊ってという感じでパーティーを楽しみます。
それが夜更けまで続くのです。。。(つらかった・・・。)

パーティー

夜の12時をすぎた頃、ケーキ入刀がありました。
これが終わるまではみな帰れません。
小さな子供たちも87歳のおばあちゃんもみなまったく疲れていないようで驚きです。
私や夫は長旅と普段全く外出しない生活を送っている為に早々に疲れ果て、
いったいいつ帰れるのだろうかとぐったり。
午前1時をすぎてちらほらと人が帰りはじめ、私たちも念願の帰路につけました。
パーティーはきっと朝まで続いていたにちがい有りません。

パーティー

こうしてみると、まったく習慣のちがうフランスの結婚式。
今回の式はごく標準的なもので、リッチな人々はお城を貸し切ってパーティーをしたりとクラスも色々のようです。
なかなか経験のできることではないので貴重な体験でしたが、大変な1日でした。

おわり


apero と bisous、プロヴァンスの休暇その2

フランスの習慣のひとつ、親族や親しい隣人・友人と食前酒やつまみを楽しむ小さな飲み会「apéro アペロ」。

食事前の数時間程、腹ごなしと世間話を交わします。
(その後普通にご飯を食べます。)

ソーセージの干物(?)やアンチョビペーストのディップ、フォアグラなど、アペロで食べ過ぎてご飯が食べられないことも。

今回の滞在8日間中、なんと4回もありました。フランス人はほんとアペロが大好きです。

お酒も控えめな量ではなく、結構がっつりと飲んだりします。

よくフランス人はワインを水のように飲むなんていいますが、そうでもないなーと印象にあります。

ワインは食事の添え物でよく出てきますが、

私が滞在したところでは、年配の男性は「pastis パスティス」という度数の高い地酒をよく飲んでいました。

あとはビール。どちらかというとビールをジュースのように飲むって感じがします。

なので、ビールは2本までだったら飲んでも運転してもいいそうです。

ホントに?!って感じですが、あちらの人はきっと体質がちがうんですね。

でもパスティスはだめ。2杯飲んだら完全にアウトだと、

交通警察官だった叔父がその2杯目を飲みほして言いました。その後運転して帰って行きましたが。うーん。。。

↓↓↓↓↓ 写真はフランスのカニかま、その名も「スリミ(すり身)」。私の好物のひとつ。

カニかま、スリミ

もうひとつ、フランスの習慣のひとつに「bisous ビズー」があります。

これはほっぺを合わせてチュッとキスする感じの挨拶です。

ありがとう・おめでとうの場合でもビズーします。

親族が一同に会するときなんかはビズーで人が渋滞します。

だいたいは両ほほで2回、パリジャンは4回。地域によって変わるようです。

ちなみに叔父には3回。なぜなら警察官だったので地位が高いから1回余計にするとのことで。
本当かどうかはわかりません。

初対面の人にはビズーのかわりに握手をします。

ちょっとだけの知り合いだったら男性同士は握手、異性同士だったら男性が女性にビズーって感じです。

挨拶する人たちの陽気さ(?)にもよると思いますが。

相手との親密さを測れるビズーはちょっと素敵な習慣です。

でももし今の日本でこの習慣があったらAKBの握手会はきっとbisous会ですね、あんまり見たくないです。。。


2年振りの里帰り、プロヴァンスの休暇 その1

飛行機で14時間、日本から遠く離れたフランスの夫の実家へ里帰りしてました。

マルセイユから車で30分程の “Plan de Cuque”(プランドキュック) という小さな町です。

有名な観光名所や商業施設もなく、かといって伝統的なプロヴァンスの村というわけでもない、元・新興住宅街といったところでしょうか。

とくに変哲のない町ですが、

オレンジ色の屋根の家々やローリエの生け垣、街路のラベンダーなど、外国人の私にとってはいつも新鮮な町です。

ローリエの花

毎週土曜日には教会のそばでマルシェが開きます。

新鮮な野菜や海産物をはじめ、日用品や洋服など生活に根ざしたものを売る屋台が集まります。

洋服類は激安ですが、食料品はちょっと高め。でも新鮮です。

新鮮な魚

今回よく目にしたのは「輪ゴム」。日用品の屋台には必ず山積みされてました。

髪留めや袋止めにするにしては小さな輪ゴムたち。しかもとてもカラフル。

最初は何で売っているのか分かりませんでしたが、輪ゴムと一緒にブレスレットが展示されていて納得。

どうやらアメリカで人気の輪ゴムのリリアン編み(?)がこちらで大流行のようです。

子供や女性が輪ゴムを大人買いしてました。

日本にもそのうちブームがくるんですかねー。

私も買っておけば良かった。。。

日本人にとっては物珍しいマルシェなので色々と写真を撮っていたら、ある店主に

「日本人はなんでもかんでも写真を撮りやがって、カメラしまえよ云々」と面と向かって言われて唖然。

はいはいごめんねーと流しましたが、かなりカチンときました。

どうせ言葉がわかんないと思ってやったのでしょう。それがますます意地悪い感じです。

腹いせに家に帰って家族に愚痴りました。みんな怒ってたので私もちょっとスッキリ。

確かにマルセイユや他の地域ではナショナリズムの強いところがありますが、

かといってみな大人なので声を大に異人種を特定して誹謗中傷する人は稀だと思います。

対応がてきとーなことはお国柄です。それが意地悪だとかは思いません。

大半の生粋のフランス人はより親身で人当たりが良かったりします。

念のため!フランスの公共の場所での私的な撮影は禁止されていないですよー。


3年に1度の芸術祭〜女木島・男木島へん〜

瀬戸内芸術祭の旅、最終日は女木島と男木島という離島を訪れました。

女木島は桃太郎が鬼退治に訪れたという謂れがある、人口160人の小さな島。鬼ヶ島とも呼ばれているそうです。

鬼ヶ島伝説

ここにはおもしろい作品がたくさんあって、今回見て回った中で一番楽しかったような気がします。

瀬戸内芸術祭 女木島

↑まるで遺跡のような作品。
「段々の風」という作品で、段々畑の頂上に素焼きのオブジェが幾重にも重なっていて、確かに隙間から風を感じました。

屋外展示の作品は体感して楽しむ事が出来るので、よくわからないアート作品でも興味を持って見れるのがいいです。

瀬戸内芸術祭 女木島

↑これは小学校の中庭に作られたエキゾチックな香りのする大掛かりな作品。

ちょっと猥雑(?)な印象を受けたので、この作品は小学校が始まったらどうするんですか?と案内の方に訊ねると、

ここの小学校はもう8年も前に廃校になってしまい、島にも子供がいないため開校する事は遠い先だから半永久的に保存されるだろう、と・・・。

子供がいないということは、もしかしたらいつかは無人島になってしまうのかもしれません。。。

芸術作品がきっかけになって、人の交流がもっと盛んになって島に活気が戻ってほしいと強く願わざるを得ませんでした。

次に訪れた男木島もそんな小さな島のひとつ。

ここの小学校も廃校され、高齢者の人口割合が60%以上というところです。

この島の生活に根付いた道具をリノベーションした「オンバファクトリー」さんの作品がありました。

瀬戸内芸術祭 男木島

↑「オンバ」と呼ばれる乳母車で、山の斜面にへばりつくようにして密集している集落内で荷物を運ぶのに使われています。

明るく楽しいオンバで、帰ってきたくなる島にしたい、というコンセプトで活動してる「オンバファクトリー」さんのオンバ作品。

これは島民の方が実際に使っているオンバで、持ち主自身が「オンバファクトリー」さんに発注して作られたもの。

”発注”ということそこに金銭のやり取りが発生すると思うのですが、私はそれがすごいと感じました。

小さな寂れ行くコミュニティーで、芸術活動や作品を通して新しい経済活動が生まれるというところや、

生活必需品を楽しくリノベーションする事で、持ち主の方に喜んでもらえて島に笑顔が増えるということ、

芸術活動が実際に生活にとけ込んでいるということ、

感じた事をうまく説明できませんが、とにかく「オンバファクトリー」さんの活動にとっても共感できました。

私自身の今後の目標と言うか、何か目指すべきものの一部と言うか、なんだか心にくるものをもらえた気がします。

だから旅行に来ようか迷った芸術祭ではありましたが、来てよかった!楽しかった!な3日間でした☆おしまい☆


3年に1度の芸術祭〜直島へん〜

建築家・安藤忠雄や草間弥生の作品で有名な瀬戸内海のアートスポット、直島。

雑誌casaやブルータスの影響で、この島にはいつか絶対に行かなければいけない!
みたいな、変な思い入れがありました。

その念願の直島についに行って参りました。

瀬戸内芸術祭 直島

高松港から船に揺られて1時間、この日はあいにくの雨でした。

島には昔ながらの木造家屋が建ち並び、晴れていたらのんびりお散歩にはぴったりだったと思います。

直島の町並み

瀬戸内芸術祭 直島はいしゃ

町中には空き家を利用した作品展示が多くあり、点在する作品を求めてあてもなくうろうろしていると、

次の目的地の美術館へのバスが目前を通り過ぎていきました。

前日の二の舞は避けたい!と思って、走って追いかけるも寸手で間に合わず。。。

悔しがっていると、見かねた地元の方が車で送ってあげるよ!と声をかけてくれて、本当に親切で助かりました!!

夏場は何倍もの観光客で美術館は3-4時間待ちだし、最終の船を逃して帰れない人もいるよー、今日は雨だけどラッキーだよ!という話を車内で聞いて、

この小さな島にそんなにも多くの観光客がいたら地元の方はさぞ大変だろうと思いました。

芸術祭を観光する際には是非ともマナーは守って行きたいですね。住んでいる方の協力あってのイベントだとひしひしと感じました。

瀬戸内芸術祭 直島


3年に1度の芸術祭〜小豆島へん〜

3年に1度、香川県で開催される現代美術の祭典・「瀬戸内芸術祭」に遊びに行ってきました!

以前から訪れてみたいと思っていたこの芸術祭、久しぶりの旅行ということもあって満身創痍になるまで楽しむことができました☆

1日目は高松から船で1時間程の小豆島へ。そういえばビックダディが住んでいたところですよね。

瀬戸内芸術祭 小豆島

旅行前に何の下調べもしていなかったため、目的の作品を見に行くまでに右往左往。

数時間に1本のバスを逃してしまい、午前中いっぱいバス待ちで過ごす羽目になり、
(この日は会期前だったので、恐ろしく交通の便が悪かったです。)

お昼過ぎにようやくこの島で一番見たかった作品にたどり着く事が出来ました!

瀬戸内芸術祭 小豆島

棚田に囲まれた秘密基地のような、台湾のアーティストさんが手がける小豆島産の竹を利用した作品で、

作るのに15人もの職人さんが台湾からいらしたとの事。かなり大掛かりな作品です。

作品内部

作品内部は思っていたよりも広く、

どうせ帰りのバスまで時間があるので、心ゆくまでごろごろと寝っ転がって、

木漏れ日のような光と風で木がこすれる音で、まるで波打ち際にいるような感覚になりました。

作品内部

天井は緻密なステンドグラスのよう。

見学者はほとんどいなかったため、貴重な空間でゆっくりと過ごせて本当にラッキーでした。

他に人がたくさんいたらちょっと興ざめだったと思います。

ビールでまったり

まだまだ時間が余っていたので、近くのカフェでビールを飲んでまったり。

結局この日に回れたのはこの作品だけ。もっと下調べをすれば良かった・・・と後悔しました。

他の作品も見たかったし、オリーブ畑や醤油蔵にも行きたかったなぁ・・・。

そういえば、チラ見したガイドブックやサイトにも「事前に計画を立てよう!」と書いてあったのに、

日本国内だし何とかなるよねー、と思っていたのが間違いでした。。。こんなに難易度が高い旅になるとは!

小豆島の夕焼け

次の日は安藤建築で有名な島・直島へ。天気予報の雨を裏付けするかのような妖しい夕焼けで小豆島を締めくくりました。


パリで覚えた「こんにちは」と「ありがとう」

近所の方にお会いしたら「こんにちは」、

親切にされた時は「ありがとう」。

もちろん子供の頃から知っている言葉ではありましたが、

パリにいる時程この2つの言葉を使った経験はないのでは???と最近思っています。

パリに行く前から今の夫(フランス人)と付き合っていましたが、

彼はどこのコンビニやスーパーのレジ、至るお店で必ず「ありがとう」って言っていたんです。

私にはそれがちょっと不思議でした。

コンビニのレジでありがとうって言ったことなんてなかったので。

でもパリに行ってわかったんです。

向こうでは、ぜったいにこんにちはとありがとうをどんなお店でも言います。

言わなきゃおかしい、、、というかもうそれがひとつの礼儀です。

出会ったからこんにちは、対応してくれたからありがとう、

考えてみればすごく自然なことで、逆になんで日本ではこれが根付いていないのかが不思議になりました。

ずっと日本にいたら気づかなかったかもしれません。

だから今は挨拶のマナーは必ず守っていこうと思ってます。

コンビニでこんにちははちょっと言いづらいかもなので、ありがとうだけでも言うとすこしハッピーな気分になれると思いますよ!