イヴサンローランのオートクチュールコレクションにも使われている「coquelicot」(コクリコ/ポピー)の花の刺繍。
これは絶対にしたい! とあこがれに思っていたルサージュの課題のひとつ。
これがあったが為にルサージュに長い間通ったと言っても過言ではありません。
オートクチュールコースの最後の課題、レベル8「coquelicot」です。
トリを飾る作品にふさわしく、とても豪華で意匠に富んだ作品です。
実は背景の空の部分には、スパンコールやシルク(に似た糸)をびっしりと刺した後、
白い絵の具で霞のようなペイントをしています。
葉っぱの部分などもマーカー(!)でペイントしてより生っぽい感じにしています。
さすが洗濯を考えないオートクチュール!一般常識とはかけ離れた思考も表現されます。
このコクリコのある草原風景、意外とフランスやイタリアの原っぱでも見かけることが出来ました。
小さな白いマーガレットに、赤いコクリコが無造作に野生むき出しで街路に生えてたりします。
日本人にとってはメルヘンな草原風景ですが、
ヨーロッパの人にとってはちょっと懐かしい田園風景かもしれません。
ルサージュのプロフェッショナルコースでオートクチュール刺繍の基本を学び、
その次のレベル7で刺繍に対する自我、自分は何が美しいと思うかと問う想いが芽生え、
この「coquelicot」で表現の自由さ、斬新さを求めるココロを学んだルサージュでの経験。
オートクチュール刺繍にはタブーがありません。
もちろん技術的にやってはまずいこともありますが、表現方法に制限はありません。
ちょっと前にお客様にもお話ししたのですが、
オートクチュール刺繍というのは、
女性の趣味というカテゴリーを超えた、職人の創り出す工芸の世界とも接する素晴らしい技術なんです。
こんなものがいつか自分の力で生み出せたら素敵ですよね?
継続は力なり、私もいつかとっておきの、そして誰かのあこがれになれるような作品が生み出せたらいいなと思っています。