オートクチュール刺繍のテクニック2

オートクチュール刺繍のテクニックをご紹介した前回のブログの続きです。

すでに多くのテクニックを掲載しましたが、まだまだあります。

前回も写真の中のすべてのテクニックはお伝えしきれてないのですが、目につく代表的なものを抜粋しております。

それでは再開です。

ルサージュの刺繍テクニック

1、針(aiguille)・・・
立体的に仕上がるように、中に詰め物(bourrage:ブラージュ)をしたサテンステッチ(passé bourré:パセブレ)。
曲線をうまく描きながらサテンステッチをするのもテクニックの一つ。

2、メタルリボンを使った技法・・・
金属でできた細く、薄いプレート状のリボンを折り返しながら縫い付けています。
この特殊なリボンは日本ではなかなか見つけることができません。

ルサージュの刺繍テクニック

1、クロシェ(crochet)・・・
point tiré(ポワンティレ)という技法で、複数のビーズをワンステッチで刺しています。
このように面を埋める時には重宝するテクニックの一つです。

2、クロシェ
vermicelle(ヴェルミセル・ランダムなステッチ方向で面を埋める技法)のスパンコールバージョンです。透明なスパンコールを色糸で刺繍しています。
それぞれのスパンコールが重なりすぎないように、またぽっかりと空間が空かないようにステッチするのは至難の業です。

写真の赤い花びらの部分は、皮をドレーピングしながら縫い付けています。
こんな素材の取り合わせの妙もオートクチュール刺繍の魅力の一つです。

ルサージュの刺繍テクニック

シルクのような光沢を持つ糸を使って、クロシェのpoint tiréでサテンステッチのように刺繍しているお花たち。

ひとつひとつ立体的なモチーフに仕上げた後、さらに立体感が出るように縫い止めています。

写真から見えないですが、この花の下にも同じ図案の花が刺繍してあり、見えない所へのこだわり(ゴージャス!)もルサージュで勉強した大事なポイントでした。

ルサージュの刺繍テクニック

クロシェと針を組み合わせて、こんなかわいらしい小鳥さんも作ることができます。

*針で・・・
顔の部分のpassé évidé(パセエヴィデ)とpassé remordu(パセルモルデュ)。
同色糸を使ってますが、ステッチがグラデーションするように刺しています。

尻尾はpassé plat(パセプラ・)、カーブを描きながらのサテンステッチ。

胴部分の羽根の黄色い部分は、ラフィアを使ってフレンチノット(point noued:ポワンヌ、もしくはpoint graine:ポワングレン)してます。

*クロシェで・・・
銀糸、ピンクと赤の糸部分はチェーンステッチ(chaînette:シェネット)で埋める技法(remplissqge:ランプリサージュ)を使って、模様を描き出しています。
シンプルなテクニックながら、組み合わせることで複雑な印象を見せることが出来ます。


といった感じで、ルサージュの作品をもとに、オートクチュールの技法をかいつまんで説明させて頂きました。

でも読んでるだけではちょっとわかりづらいかもです。
実際やってみると、「なるほど!こういうことね!!」(「En effet !」)と感じて頂けるのではないかと思います。


オートクチュール刺繍のテクニック1

パリの刺繍学校「ルサージュ」のオートクチュールコースには、レベルごとにテクニックを習得するコースと、そのレベル1〜6に相当するテクニックがまとめられたプロフェッショナルコースという2種類があります。

私はそのプロフェッショナルコース(150時間)をまず受講して、この作品を作りました。
(この課題の前に練習用の課題があります。)

ルサージュの刺繍オートクチュールコース

かぎ針(クロシェ・ド・リュネビル)のテクニックと針刺繍、リボンや飾り紐の扱い方を学ぶ為の課題です。

この作品を参考に、オートクチュール刺繍にはどんなテクニックがあるのか?を細かく説明しますと、、、
(ついでにフランス語で何と言うかも覚えてみましょう!)

ルサージュの刺繍テクニック

1、クロシェ(crochet)・・・
生地の表からチェーンステッチ(chaînette:シェネット)するテクニック

2、針(aiguille:エギュイーユ)・・・
サテンステッチ(passé plat:パセプラ)。糸はシュニーユ(chenille)という毛虫のような糸を使っています。

3、針・・・
グラデーションのサテンステッチ(passé évidé et passé remordu:パセエヴィデ・パセルモルデュ)
刺繍糸とラフィア(rafiia)というかごバックの素材のようなテープを使ってます。

*ビーズを連ねて刺繍しているのはクロシェを使っています。

ルサージュの刺繍テクニック

このように、立体的なモチーフを作ることも出来ます。
糸とクロシェテクニックを組み合わせてデザイン化された葉っぱたち。

ルサージュの刺繍テクニック

1、クロシェ・・・
面をチェーンステッチで埋める技法(remplissage:ランプリサージュ)

2、クロシェ・・・
面をビーズなどで埋める技法(vermiclle:ヴェルミセル)
ビーズの向きが揃わないようにランダムに配置しながらステッチします。この技法はオートクチュール刺繍を一番象徴づける、ユニークな物だと思います。

3、クロシェ・・・
角をしっかりと表現することが出来ます。表からは見えないステッチで方向転換してます。

とりあえず今回はここら辺で終わります。
続きは次回で!


朝日カルチャーセンターでの1day講座

先日、横浜の朝日カルチャーセンターで行なったオートクチュール刺繍の特別講座。
カルチャーセンターの方によれば、今回のお客様は他の手芸系のクラスに比べて、比較的若い方が多かったそうです。
たくさんの方と出会えて大感謝!

クロシェ(リュネヴィル刺繍)を使ってのチェーンステッチやビーズ付けでラヴェンダーの香り袋を作ったこの講座、
すぐに飲み込める方、苦戦する方と様々でしたが、
ご参加下さったみなさん全員に課題を終えて頂くことができました!

難しいテクニックの講座だと、あきらめて先生に丸投げしてしまう生徒さんがいらっしゃると聞いていたのですが、
そういったこともなく、オートクチュール刺繍を楽しんで頂けた証拠かなと思います。

オートクチュール刺繍をたくさんの方に知って頂けて嬉しい限りです。

秋にも講座を開く予定ですので、また来て頂ければと思います。

オートクチュール刺繍講座 朝日カルチャーセンター4オートクチュール刺繍講座 朝日カルチャーセンター3オートクチュール刺繍講座 朝日カルチャーセンター2オートクチュール刺繍講座 朝日カルチャーセンター1

朝日カルチャーセンターさんのブログでも、講座の様子をご紹介頂きました。
>>朝日カルチャーセンター横浜教室のブログへようこそ!


オートクチュール刺繍のクロシェのやり方 その3

ついにオートクチュール刺繍のクロシェのやり方の最後の説明が出来ました!

基本の“ん”、終わりのステッチの説明アニメーションです。

始まりのステッチをして、チェーンステッチをして、
終わりたい所まで来たら、同じ穴に刺して糸ループを作るようにして終わります。

それではご覧下さい!

オートクチュール刺繍のクロシェのやり方 終わりのステッチ

始まりのステッチとチェーンステッチの説明はこちらのページで紹介しています。
>>オートクチュール刺繍のクロシェのやり方 その2

これでクロシェの基本的な説明は完結となりますが、
もしご要望があれば他の簡単なテクニックのご紹介もして行きたいと思います。


最近の刺繍のお仕事

友人のデザイナーがロシアでブランドデビューコレクションをする(!)とのことで、ここ2ヶ月ほどそのお仕事の手伝いをしていました。

今回のコレクションは和紙を加工した生地をメインに使った、前衛×ポップ×東京ストリートといった感じのコンセプトで、
普段はなかなか刺繍することができないデザインに携わることができました。
しかも自分が刺繍した生地が洋服になるのは初めてのことです!感激!

イロハニホヘトという日本古来のカナを現代風に刺繍アレンジしたり、
東京のネオンや走る車のライトがハレーションするイメージを視覚化したりと、
デザイナーと一緒に創り上げるコラボレーションからはかなりの刺激とアイディアをもらえました。
図案を考えるのも、試作をするのも楽しくて、サクサクと手が進み、
私としてはめずらしく悩まないで作業できた仕事です。
もしかしたらこういう路線の方が性に合ってるのかも?

写真やメイクも大御所さんに頼んだらしく、すごくかっこいい出来映えですよー!

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オートクチュール刺繍のブローチ試作中!

オートクチュール刺繍らしい身につけられるものって何だろう?と思い、息抜きを兼ねていろいろと試作中です。

ビーズやスパンコール、ラインストーンにパール、刺繍糸とリボン、オートクチュール刺繍でよく使うありとあらゆる材料を組み合わせて、
普段でも、ちょっとオシャレしたい時にも使えるようなデザインのブローチやヘアゴムを作っているところです。

オートクチュール刺繍の一番の魅力って何かしら?と考えた時に、最初に思いつくのは、
様々な材料やテクニックを組み合わせた、刺繍の総合格闘技的な要素だな、、、と思いたち、
小さなアクセサリーの中にこれでもか!という感じでいろいろな表現を組み合わせてみました。

オートクチュール刺繍で作るブローチ 作品例

クロシェ(かぎ針)でビーズを刺繍して、ビーズ針でラインストーンやパールを付けて、刺繍糸でサテンステッチして、リボンを刺して〜と、なかなかの工程数を踏んでいます。
同じテクニックの連続ではないので、作業していて楽しい!上に、見た目もボリュームがあっていい感じです。

まだまだたくさんデザインのアイディアがあるので、試作をするのが楽しみです!
課題を考えなきゃ!ってプレッシャーがなく刺繍をするのは、ストレス解消にもなっていいですね。


リュネビル刺繍の小さなポーチ作り

新しい作品を試作中です。今回はクロシェ(かぎ針)テクニックの小さなポーチに仕上げる予定です。

5月17日から19日まで出展するビーズ展までに仕立ててお披露目しようかなと考えています。
まずはばっちり似合うファスナーを探さねばなりません!オカダヤが隣にあればいいのに!

オートクチュール刺繍 クロシェの練習

最近は小さい作品を作ることが多いので、試作中は床に散らばったビーズを拾い集めて、小さなビーズトレーにまとめて作業するのですが、
このちょっとづついろんな種類が混ざった状態がすごくいい感じで、どうにか次の作品に活かせないものかと思案しています。

試作中の材料類

こういう感じがドット柄になってるミニタイトスカートがあったらひとめぼれ間違いなしです。
羽根とか鈴とか付けちゃいたい。早く実現させたいです。