オートクチュール刺繍教室の生徒さんに渡そうと思って、
ファスナー付きポーチの作り方の説明書を作ってみました!
手書きの字が本当にお見苦しいですが、、、
初めてポーチを作る方でもわかりやすいように、簡単な手順で紹介しています。
本格的に作るには芯を貼ったり、袋布の吹き出しを防ぐステッチなどもするのですが、
この作り方でもいい感じに仕上がると思います!
もし間違ってる部分や、全然わかんないよ!(`ε´)という箇所があったら、
お気軽にブログにコメント下さいね☆
小さな手芸屋さんが紹介するオートクチュール刺繍のあれこれ
新しい課題の為に刺繍の試作中です。
試作中はいっつも適当で、玉止めの処理すらしない横着ものの私ですが、
いかに短い時間で多くの新しいテクニックバリエーションを試せるかの真剣勝負の時間です。
産みの苦しみで辛いひと時でもあります。
そんな中、いい感じに仕上がったこの作品。
なんとなくヴェルサイユ宮殿の壁紙っぽいものになりました。ロココな気分です。
これは秋から始まるヴォーグ学園での課題作品に使用する予定です。
ポーチに仕立てられるようにして、クロシェやはさみなんかを入れて使ってもらえたらいいなと思います。
そういえば、
アパレルにいた時代からよく電車内でデザインを書いている時が多かったのですが、
最近またその習性がよみがえってきました。
単に、きちんと机に向かってデッサンする時間が惜しいということなんですが、
(あとデザイナーをしていた時は、車内のリアルな人のファッションを参考に出来てリサーチ替わりにもなったので、)
結構はかどるのが不思議です。
この作品も電車内で生まれたアイディアのひとつ。
もし東横線で小さなメモ帳に落書き的に刺繍図案ぽいものを書いている人がいたら、、、
それは私です。よかったら声をかけて下さいね!
イヴサンローランのオートクチュールコレクションにも使われている「coquelicot」(コクリコ/ポピー)の花の刺繍。
これは絶対にしたい! とあこがれに思っていたルサージュの課題のひとつ。
これがあったが為にルサージュに長い間通ったと言っても過言ではありません。
オートクチュールコースの最後の課題、レベル8「coquelicot」です。
トリを飾る作品にふさわしく、とても豪華で意匠に富んだ作品です。
実は背景の空の部分には、スパンコールやシルク(に似た糸)をびっしりと刺した後、
白い絵の具で霞のようなペイントをしています。
葉っぱの部分などもマーカー(!)でペイントしてより生っぽい感じにしています。
さすが洗濯を考えないオートクチュール!一般常識とはかけ離れた思考も表現されます。
このコクリコのある草原風景、意外とフランスやイタリアの原っぱでも見かけることが出来ました。
小さな白いマーガレットに、赤いコクリコが無造作に野生むき出しで街路に生えてたりします。
日本人にとってはメルヘンな草原風景ですが、
ヨーロッパの人にとってはちょっと懐かしい田園風景かもしれません。
ルサージュのプロフェッショナルコースでオートクチュール刺繍の基本を学び、
その次のレベル7で刺繍に対する自我、自分は何が美しいと思うかと問う想いが芽生え、
この「coquelicot」で表現の自由さ、斬新さを求めるココロを学んだルサージュでの経験。
オートクチュール刺繍にはタブーがありません。
もちろん技術的にやってはまずいこともありますが、表現方法に制限はありません。
ちょっと前にお客様にもお話ししたのですが、
オートクチュール刺繍というのは、
女性の趣味というカテゴリーを超えた、職人の創り出す工芸の世界とも接する素晴らしい技術なんです。
こんなものがいつか自分の力で生み出せたら素敵ですよね?
継続は力なり、私もいつかとっておきの、そして誰かのあこがれになれるような作品が生み出せたらいいなと思っています。
今年の秋、オートクチュール刺繍の新しい講座がヴォーグ学園横浜にて始まります。
春頃にお話を頂いてから告知の日を心待ちにしておりましたが、
ようやくみなさんにお知らせすることができました!
新しい講座は気楽に楽しみながら学んで頂けるようなものにしたいと思っております。
クロシェ(かぎ針、リュネヴィル刺繍)の基本から針・リボン刺繍を交えて、
より身近な生活を彩るような作品作りをお教えする予定です。
もちろん初心者のかた大歓迎の講座です。
ヴォーグ学園横浜校のカタログのトップページにドドン!と大きく紹介して頂いております!
毎月第4土曜日の午前のクラス(10:00~12:30)で、定員は12名様までとなっております。
お申し込みはヴォーグ学園横浜校までお電話やメールでお問い合わせ下さい。
充実した課題を皆様にお届けできるよう頑張ってまいります!
この試験、合格することが出来るでしょうか???
CAPと言う、国が定める職人認定資格があります。
もしフランスでオートクチュール刺繍のアトリエで働きたいのなら必須の資格です。
もちろんテストはすべてフランス語。
刺繍の実技試験の他に、一般教養、美術の筆記試験もあります。
今年パリの友人が受験したので、その試験内容を見せてもらいました。
それがこちら。
これはおもにクロシェ(かぎ針・リュネヴィル刺繍)の実技試験課題。
なんだか適当そうな図案です・・・。
生地は分厚いフェルト地で、それと一緒に何か別の布(なんだかわかりませんが芯地を裏打ちするか、フィルムをかぶせるのだと思います。)を刺繍枠にセットする所から始まります。
そしてこれが指示書。
全部フランス語です。(当たり前ですが、、、)
解読に時間のほとんどを使ってしまいそうです。
指示書と図案を照らし合わせて、
ビーズを線状に刺繍したり、ポワンティレしたり、スパンコールで埋めたり、おもに基本的なテクニックのようです。
あとは銀糸のチェーンステッチもありそうです。
しかし!試験はこれだけではありません。
もう一つが、
針刺繍メインの課題。
これは本当に時間内に終わるものなのでしょうか・・・?
どのくらいの時間を与えられてるのか聞いてませんが、数時間のテストだったらきっと見込み薄です。
フランス語がいっぱいです。
サテンステッチとフレンチノット、ツイストステッチに別布(この試験ではリボン)にしわを寄せながらモチーフを表現するテクニックがありますね。
ほぼ基本の針仕事のようです。
友人曰く、とーーーっても難しかったそうです!!!
なんせ生地が分厚い上に二重ですしね。
このCAPを受験するためには、3ヶ月以上(たしか)のスタージュもしくはそれに相当するプロフェッショナルコースの授業を受ける必要があります。
ちなみにルサージュのプロフェッショナルコースで、このCAPの受験資格を得ることが出来ます。
(CAPを目指してる方、自分でもしらべてみて下さい。私はかなり前にしらべたのでうろ覚えになっている部分があります。)
特に受験票的なものをくれる訳ではないですが、
私はルサージュでプロフェッショナルコースを受講しました!という認定証(?)のような書類をくれます。
これは公式なものやなんらかの資格を発揮するではないです。
(*ルサージュで資格はとれません。)
友人はルサージュに行った後、公立の刺繍専門高等学校で学んでこの試験に臨みました。
彼女は私より2周り程年のはなれたマダムですが、高校生に混じって1年間勉強してました。
ルサージュでは習わないこともたくさん勉強できたようで、本当にうらやましい限りです。
私も一緒に行けばよかったな・・・。
CAPも受ければよかったな・・・。
とにかく、友人が合格することを祈ってます!!
7月3日に閉幕したパリの2013AWオートクチュールコレクション。
以前と比べると参加メゾンがぐっと減ってしまったように感じられます。
なんだか世相が垣間見えますね。
そんな中で、ちょっとおもしろいなと思ったスタイルをピックアップしました。
シャネルのコレクションから、、、
ウールのミックスツイードにラメ箔をした生地のスカートかな?
と拡大してみると・・・
なんと!四角いスパンコールがビッチリと刺繍されてました!
なんとなくツイード風にデザインされている感じです。
こちらもシャネルから、、、
プリーツ生地でブロッキングされたビスチェかなーと思いきや、
じつは全部羽根です!これはすごい!!マネできません。
お次ぎはヴァレンティノ。
端正なロングコートに虫が・・・?
やっぱり虫でした。
写真ではプリントや生地の織りに見えるような柄も、
オートクチュールコレクションでは刺繍で表現されていることが多く、
いろいろと研究になりますよ。
そういえば、ルサージュにいた頃、先生たちはコレクションの時期は徹夜続きで作業してるのよ!
と聞いて、フランス人も仕事で徹夜するんだー?!とびっくりしました。
絶対に大変だけど、ちょっとうらやましい世界です。
心からそう思えたのは、プロフェッショナルコースの課題を終え、次の新しい課題に入った頃。
「Ravel」という題名の、これぞオートクチュールという内容の作品でした。
クロシェのテクニックもより難易度が上がり、扱う材料も一癖あるものばかり。
とくに、生地が透けないのでまったく表の様子が分からないのが大変でした。
(生地の裏を見ながら刺繍しているので、透けている素材なら何となくどう出来上がったのかがわかります。)
まるで修行のように、どうすればもっと美しく表現できるだろうかと探求しながらの作業。
プロフェッショナルコースの課題のときは言われるがままやっていた課題作業が、
自分らしさというか、自分は何が美しいと感じるかということに向き合いながらの探求作業に変わりました。
「これは普通の刺繍とは何かがちがう・・・、こんな真剣に作業したことなかった!」
毎日少しづつ出来上がっていく作品の出来映えにドキドキワクワク胸が高鳴っていました。
渡仏してから毎日学校と宿題のローテーションで全くといっていい程遊ぶことは出来ませんでしたが、
真剣に課題に取り組む時間は、遊びに勝る楽しさがありました。
「オートクチュール刺繍ってほんとにおもしろい!」
この楽しさ、もっと多くの人に知ってもらえたら、
もっと、もっとおもしろい!
すでに多くのテクニックを掲載しましたが、まだまだあります。
前回も写真の中のすべてのテクニックはお伝えしきれてないのですが、目につく代表的なものを抜粋しております。
それでは再開です。
1、針(aiguille)・・・
立体的に仕上がるように、中に詰め物(bourrage:ブラージュ)をしたサテンステッチ(passé bourré:パセブレ)。
曲線をうまく描きながらサテンステッチをするのもテクニックの一つ。
2、メタルリボンを使った技法・・・
金属でできた細く、薄いプレート状のリボンを折り返しながら縫い付けています。
この特殊なリボンは日本ではなかなか見つけることができません。
1、クロシェ(crochet)・・・
point tiré(ポワンティレ)という技法で、複数のビーズをワンステッチで刺しています。
このように面を埋める時には重宝するテクニックの一つです。
2、クロシェ
vermicelle(ヴェルミセル・ランダムなステッチ方向で面を埋める技法)のスパンコールバージョンです。透明なスパンコールを色糸で刺繍しています。
それぞれのスパンコールが重なりすぎないように、またぽっかりと空間が空かないようにステッチするのは至難の業です。
写真の赤い花びらの部分は、皮をドレーピングしながら縫い付けています。
こんな素材の取り合わせの妙もオートクチュール刺繍の魅力の一つです。
シルクのような光沢を持つ糸を使って、クロシェのpoint tiréでサテンステッチのように刺繍しているお花たち。
ひとつひとつ立体的なモチーフに仕上げた後、さらに立体感が出るように縫い止めています。
写真から見えないですが、この花の下にも同じ図案の花が刺繍してあり、見えない所へのこだわり(ゴージャス!)もルサージュで勉強した大事なポイントでした。
クロシェと針を組み合わせて、こんなかわいらしい小鳥さんも作ることができます。
*針で・・・
顔の部分のpassé évidé(パセエヴィデ)とpassé remordu(パセルモルデュ)。
同色糸を使ってますが、ステッチがグラデーションするように刺しています。
尻尾はpassé plat(パセプラ・)、カーブを描きながらのサテンステッチ。
胴部分の羽根の黄色い部分は、ラフィアを使ってフレンチノット(point noued:ポワンヌ、もしくはpoint graine:ポワングレン)してます。
*クロシェで・・・
銀糸、ピンクと赤の糸部分はチェーンステッチ(chaînette:シェネット)で埋める技法(remplissqge:ランプリサージュ)を使って、模様を描き出しています。
シンプルなテクニックながら、組み合わせることで複雑な印象を見せることが出来ます。
といった感じで、ルサージュの作品をもとに、オートクチュールの技法をかいつまんで説明させて頂きました。
でも読んでるだけではちょっとわかりづらいかもです。
実際やってみると、「なるほど!こういうことね!!」(「En effet !」)と感じて頂けるのではないかと思います。
私はそのプロフェッショナルコース(150時間)をまず受講して、この作品を作りました。
(この課題の前に練習用の課題があります。)
かぎ針(クロシェ・ド・リュネビル)のテクニックと針刺繍、リボンや飾り紐の扱い方を学ぶ為の課題です。
この作品を参考に、オートクチュール刺繍にはどんなテクニックがあるのか?を細かく説明しますと、、、
(ついでにフランス語で何と言うかも覚えてみましょう!)
1、クロシェ(crochet)・・・
生地の表からチェーンステッチ(chaînette:シェネット)するテクニック
2、針(aiguille:エギュイーユ)・・・
サテンステッチ(passé plat:パセプラ)。糸はシュニーユ(chenille)という毛虫のような糸を使っています。
3、針・・・
グラデーションのサテンステッチ(passé évidé et passé remordu:パセエヴィデ・パセルモルデュ)
刺繍糸とラフィア(rafiia)というかごバックの素材のようなテープを使ってます。
*ビーズを連ねて刺繍しているのはクロシェを使っています。
このように、立体的なモチーフを作ることも出来ます。
糸とクロシェテクニックを組み合わせてデザイン化された葉っぱたち。
1、クロシェ・・・
面をチェーンステッチで埋める技法(remplissage:ランプリサージュ)
2、クロシェ・・・
面をビーズなどで埋める技法(vermiclle:ヴェルミセル)
ビーズの向きが揃わないようにランダムに配置しながらステッチします。この技法はオートクチュール刺繍を一番象徴づける、ユニークな物だと思います。
3、クロシェ・・・
角をしっかりと表現することが出来ます。表からは見えないステッチで方向転換してます。
とりあえず今回はここら辺で終わります。
続きは次回で!
クロシェ(リュネヴィル刺繍)を使ってのチェーンステッチやビーズ付けでラヴェンダーの香り袋を作ったこの講座、
すぐに飲み込める方、苦戦する方と様々でしたが、
ご参加下さったみなさん全員に課題を終えて頂くことができました!
難しいテクニックの講座だと、あきらめて先生に丸投げしてしまう生徒さんがいらっしゃると聞いていたのですが、
そういったこともなく、オートクチュール刺繍を楽しんで頂けた証拠かなと思います。
オートクチュール刺繍をたくさんの方に知って頂けて嬉しい限りです。
秋にも講座を開く予定ですので、また来て頂ければと思います。
朝日カルチャーセンターさんのブログでも、講座の様子をご紹介頂きました。
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